源氏と平氏、この二つの武家はそれぞれ天皇の血を引いていた。
平家の宝刀、
小烏(コガラス)も元々は天皇家のものだった。
この霊刀が歴史に顔を現すのは垣武天皇の時代である。
ある日、垣武天皇の前に巨大なカラスが現れ自身を剣の使者といい飛び去った。
そのあとには刀が残されており、これを垣武天皇がカラスより授かった霊刀として
小烏と名付けた。
さてこの
小烏、実は現存している。
しかしこれが本当に伝説で語られている小烏なのかは疑問が残る。
垣武天皇の時代の刀剣は直刀である。
しかし現在
小烏として伝えられている刀は鋒両刃造りという、刀身の半分までが両刃になり、現在の日本刀のように反りがある。
この刀は直刀が日本刀に変化していく10世紀ごろに造られたと考えられている。
またこの
小烏を作ったといわれるのは、垣武天皇即位前の奈良時代の実在すら定かではない天国と呼ばれる名工。
仮に彼の作としても、奈良時代は直刀がもっとも盛んに使われた時代であるから、当然
小烏も直刀のはずである。
伝説が間違って伝わったのか、この霊刀が偽者なのか、あるいはその両方か。