■日本神話の剣

布都御霊 -フツノミタマ-
建御雷神が葦原中原を平定したときに用いられた神剣。後に神武天皇の手に渡り、彼はこの剣に助けられ、神の化身を切り倒している。
実はこの布都御霊、現存しているのだがなんと二本あるのだ。
どちらも片刃の太刀で、そのうちの一振りはなんと全長が2メートル70センチ。
その理不尽なまでの長さは四つ(五つだったかも)の鉄板をつなぎ合わせて作られている。
こんな大きさの直刀なんてそもそも持てないし、振ったら一瞬で曲がること請け合いである。
やはり常人には仕えない武器なのだろうか・・・
十握剣 -トツカノツルギ-
日本神話の中で出てくる神剣、十握剣。この剣の名前の由来は柄が10握り(一握り指4本)ほどあったであろうことから名付けられたと考えられる。
神話に何度も登場し、神を殺し、多くの神を生み出した正真正銘の神剣。
天之羽斬天之尾羽張、伊都之尾羽張など多くの呼び名を持つ。(実はこれらが全て同一のものかわかっていない)
この剣の最初の持ち主はイザナギ。
日本列島を生み出したイザナギ(男神)とイザナミ(女神)は多くの神を生み出すが、イザナミがカグヅチという神を生み出したことにより死んでしまう。
これに怒ったイザナギはカグヅチの首を十握剣で刎ねてしまう。このとき飛び散った血からまた多くの神が生み出された。
十握剣と草薙の剣
イザナギの次にこの神剣を手にしたのはスサノオ命である。彼はこの剣を使いヤマタノオロチを倒した。
そのとき、オロチの中で何か硬いものに十握剣があたり刃が欠けてしまった。
十握剣は神剣である。
これにはスサノオも驚き、大蛇の体を引き裂いて、その硬い物を取り出した。
これこそが天叢雲剣(アマノムラクモノツルギ)である。
この剣は一度天に献上された後、ヤマトタケルの手に渡っている。
ヤマトタケルはこの剣を授けられてからある時、焼き討ちにあった。
そのときこの剣はひとりでに鞘走り、周囲の草を切り払って退路を作り出したのだ。
このことからこの剣は草薙の剣とも呼ばれるようになった。
現在も草薙の剣は地上にあり、熱海神社に祭られている。
※ヤマタノオロチ
日本神話の中で恐らく最も有名、かつ最強の悪神。八つの首と紅い目を持つ巨大な蛇の姿が語られている。
オロチは出雲・肥川に住むある夫婦の娘達7人を毎年一人ずつ食らっていたが、最後の一人を食べる前、スサノオノミコトに倒されたのは前述した通りである。
スサノオはオロチを泥酔させ、その隙に全ての首を落としてしまう。
このときオロチの首から大量の血が流れ出し、川(ここでは肥川のことだろう)ができたという物語りもある。
確かに肥川は砂鉄の色で紅く見える。この川を見て昔からあった逸話に継ぎ足したのかも知れない。
ちなみにこのヤマタノオロチ、実は殺されずに生き延びたと伝えられていることもある。
なんとか生き延びて、人間の娘と契り、子を生したという。
しかもその子が後に酒呑童子になったというから驚きである。

戻る。